2012年3月3日土曜日

あじろがさ

先日より、往診に行っている方です。
とある病院で、がんの手術をされ帰ってこられました。
がんは進行がんで手術でもとりきれなかったようです。
高齢のため抗がん剤治療は希望されず、家に帰って来られました。

ここまで書くと、治療を諦めて家に帰ってきた人・・・
と思われるかもしれません。

この方、とある宗派のお坊さんで若い頃は厳しい修行を積まれていたそうです。
どうしても家(寺)に帰りたいということで帰ってこられました。
帰ってからもベッドで休まれる時間も多いのですが、寺におられるときは「住職」そのもののふるまいです。
やはり、自分の居場所があるのがいいのでしょうか。

往診から帰り際、玄関に笠がかけてありました。歴史のありそうな笠が並んでいます。
今回の在宅療養は、最後の修行でしょうか、、でも本人はいたって平穏です。

家に伺うとその人の歴史がわかるといいますが、今回は過去の歴史だけでなくその先にある悟りの世界に導いていただけそうな往診になりそうです。

やはり在宅では、病気を診るだけでなく、その人らしく生活していただくことが我々の仕事に求められているように思います。


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