先日から往診に伺っていた方がお亡くなりになられました。
今まで肺や胃など大病をされましたが、病院での治療の後、奇跡的に回復され退院されてこられました。
しかし今回、年が明け正月過ぎより食べられない日が続きました。
家族の希望により一旦は病院に紹介し、検査をしましたが「原因ははっきりしない」とのこと(状態から言うと「老衰」に近い状態でした)。病院から帰ってこられた後、本人とお話ししましたが「もう病院には行きたくない。このまま家に居たい」とおっしゃっていました。
その後、本人は奥さんと家で自由に過ごしておられましたが、足の力が弱り徐々に歩けなくなってきました。
3月「診療所に通えなくなったので往診してほしい」と家族から連絡があり、往診を始めることになりました。この時点でも「わしは入院はせん(しない)」とはっきりとおっしゃっていました。
そして、いよいよ3月末より徐々に食欲が減ってきました。
とある早朝、ご家族から電話です「本人が先生を呼んでくれと言っています。」と
往診すると、やや朦朧とした状態でベッドで横になっておられました。
診察を終えた後、私が「病院に行きますか?」と尋ねると、首を横に振って私の手をぎゅっと握られました。奥さんと息子さんが「わかったわ」と返事されると、全てを悟ったかのように安心され目を閉じられました。
そしてその日の昼、家族に見守られながら息をひきとられました。
玄関にあった梅の盆栽が散り始めていました。
大往生という言葉がふさわしい最期でした。
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