老老介護
高齢化率が10年早く進む永源寺地域では、高齢者一人暮し、老夫婦世帯の方々もたくさんおられます。
そんな老夫婦の一方が先日寝込まれました。
症 例:91歳 女性(Sさん)
疾 患:高血圧、骨粗しょう症
家 族:97歳の旦那さんと二人暮らし
旦那さんと二人、月に一度、外来に通われていました。旦那さんは出兵されていたこともあり、非常に礼儀正しい方です。私が外来で「ご飯が食べられなくなったらどうしますか?」と尋ねたら、「二人とも最期は家で迎えたいと思います。」と言われていました。
毎回、私が尋ねていたもんですから最近では私が尋ねる前に「最期は家で・・・」と言いながら笑っておられました。
一年ほど前から奥さんが徐々に弱ってこられ、なんとか外来に通われている状態となりました。
しかし、遠方の娘さんに連れられて頑張って月に一度通われていました。
そして、2週間前に旦那さんだけが外来に来られました。
「先生、じつは一か月前より家内が寝込みまして、先生にお力をお借りしたいと・・・云々」と語られるではありませんか!
旦那さんの診察もそこそこに「今日、昼から往診に行きますから」と言い、娘さんに介護保険の申請をするように伝え、午後から往診に伺いました。
往診に伺うと、奥さんは布団で寝たきり、仙骨部に褥瘡もできています。骨折や脳梗塞はなさそうですので、「老衰」かと思います。
オムツは97歳の旦那さんが交換し、遠方の娘さん達が交代で帰ってこられているとのことでした。
早速、ケアマネさんに連絡し、ベッド、ヘルパーさんの手配をお願いしました。
そして、一週間後の今日、褥瘡はすっかりよくなり、Sさんもお粥を食べられるほどによくなっていました。
旦那さんからは「先生のおかげです」と頭を深々と下げていただきました。「いやいや、約束ですから」
本日、帰り際に私から旦那さんに「困ったことはありませんか?」と尋ねると
旦那さんが言われました。
「家内は、こんな具合になってしまいましたが、長年連れ添った仲ですから仕方ありません。先生や皆様方にご支援いただきまして、とても助かっております。皆様に助けていただいて、私が家内の世話ができることが私にとって何より嬉しいことと思っております。」
旦那さん、カッコ良すぎます・・・
老老介護といえども、邪魔をしないように支援を考えていきたいと思います。
帰り際には玄関先まで見送っていただきました。
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