2012年12月1日土曜日

いただいた絵

患者さんからお預かりした絵をようやく飾ることができました。

Mさんは、今まで心臓や肺の大きな手術を何度も乗り越えてこられました。
しかし、一年前に胃の病気が見つかったときには「もう手術はしない」と決められたそうです。その時点で、本人も家族も残された時間は長くないことはわかっていました。

私のところに連絡があったのは、一年ほど経った今年の夏も終わりを告げる頃でした。私が往診に伺うと、Mさんはいつも居間のソファーに腰掛けられ、凛とした姿で私達を迎えていただきました。

往診中にMさんといろいろと話をしました。昔の仕事のこと、家族のこと、そして晩年は絵を描くことが趣味であったことを伺いました。「家においておいといても仕方がないから、診療所に飾ってください」とMさんから言われ、一枚の絵をお預かりしました。
永源寺の風景を描かれた大きな絵でした。

そして、絵をお預かりして一ヶ月ほど経った頃、お別れの時が訪れました。
描かれた風景のようにとてもすがすがしい表情で、Mさんは旅立たれました。



最初の往診のとき、Mさんは私にこう語りかけられたのを覚えています。
「今までたくさんの病気をしましたが、いつも最高のお医者さんにお世話になりました。先生、今回もよろしくお願いします。」と。
今回は、入院して病気と闘うことではなく、お孫さん、息子さん夫婦、奥さんとともに最期まで家で過ごすことを迷いなく選択されました。

私が関わらせていただいたのは少しの時間でしたが、絵を見ていると、病気に負けたMさんではなく、最期まで生ききったというMさんの想いが伝わり、私達に元気を与えてくださっているような気がします。



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当院の在宅医療について

   ここ19年間の実績をまとめました。      死亡診断書枚数   在宅患者さん人数   訪問診療・往診のべ回数 2005年    12           66          492 2006年    17           70          553 2007年...