2012年9月6日木曜日

医学生に対するメッセージ


先日、当院に施設見学に来られた医学生の皆さんにメッセージを書いてほしいと頼まれました。
読み手は、将来、滋賀県の地域医療を担ってくれる医師の卵達です。




宿泊研修研修を引き受けて
東近江市永源寺診療所
花戸 貴司

「先生、ありがとう」
医学部に入って半年も経たない頃、患者さんから言われたことを今でも覚えている。はじめて診療所実習に行かせてもらったのは一年生の夏だった。診療所勤務の先輩医師と看護師さんから血圧測定の手技を教えてもらい、診察前に血圧を測らせてもらっていた。最初は後ろにいる先生に向かって言っているのかと思ったが、違う、こちらに向かって頭を下げてくれていた。当時は、なぜ私なんかに頭を下げているのか、わからなかった。血圧測定が終わって診察をする先輩の後姿を見ながらふと思った。血圧を測っている私への感謝ではなく、地域の人に「先輩のような医師になってください」と応援されているような気がした。
このことが今の私の原点だったかもしれない。
今回、現地研修の依頼があったときも、是非、永源寺の地とそこで生活されている人々の姿をみてほしいと思い引き受けた。当院の施設見学の後、学生の皆は地名にもなっている「永源寺」へ。お寺の住職をはじめお寺で働くスタッフの方々、観光ボランティアガイドさんが皆を迎えてくれたことだと思う。実は、研修を引き受けた時に一番最初に相談したのが地域の皆さんだった。皆さん気づかなかったかもしれないが、今回の研修では地域の皆さんが医学生の皆の訪問を大いに歓迎してくれていたのだ。
今後、卒業までに実習を行うのは主に大学病院になると思うが、病気を抱えた人は病院の中にだけいるわけではない。病院で診る患者さんは、ごく一部の限られた人たちであり、多くの人は病気を抱えながらも地域で生活をしている。
地域医療というのは、地域の人とともに生活し、地域の人に寄り添う医療だと思っている。
大病院にはできないことでも、診療所にしかできないことがある、と信じている。
またいつの日か、この滋賀の地で皆さんと一緒に仕事ができることを楽しみに待っている。

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当院の在宅医療について

   ここ19年間の実績をまとめました。      死亡診断書枚数   在宅患者さん人数   訪問診療・往診のべ回数 2005年    12           66          492 2006年    17           70          553 2007年...