2012年9月11日火曜日

自立した永源寺地域を目指して


自立した永源寺地域を目指して
Food、Energy、Care
東近江市永源寺診療所
花戸貴司

いろいろなところで在宅医療・在宅看取りをテーマに講演会を依頼されることがあります。講演が終わった後に、皆さんから「少子高齢化のすすんだ田舎で、先生よく頑張っておられますね」という意味のことをよく言われます。田舎よりも都市部の方が便利ですが、今後も本当に過ごしやすい地域なのはどちらなのでしょうか?将来にわたって安心して生活できる地域とはどんな地域なのでしょうか。

以前、あるところで「今後、自立した地域社会に必要なことは、Food, Energy, Care」と教えてもらったことがあります。その地域でFood, Energy, Care (以下、FEC)を地域で循環させ、その地域でできるだけ自給自足できるように活動をするFEC自給圏という考え方だそうです。たとえば、食材(Food):地元でできた農産物をできるだけ使う(海産物もあるといいのですが、永源寺には海がありませんので農産物とさせていただきました)。旬の野菜はおいしく、栄養もよく、値段も安い、そしてなにより地元の農産物だから生産者の顔もみえ、安全も担保できます。また、残った食材はたい肥にするなどして地域の環境保全に役立てる。つきつめればゴミを少なくして、地域のゴミ処理費用・二酸化炭素排出量も少なくできます。なにより地域で営まれる農業が活性化することにより、地域の人がいきいきと暮らし、地域の田や畑、そして山などの自然と共生できることをすすめることができるはずです。
そしてエネルギー(Energy):震災後、節電はもちろんですが、今までの発電所からのエネルギーに頼るばかりではなく、自然エネルギーの利用促進が叫ばれるようになりました。どのエネルギーを選ぶかはここでは述べませんが、将来にわたり安全にそして安心して利用できるエネルギーを確保するためにも、個人や地域での自給自足が必要になってくるはずです。
最後に、福祉(Care):永源寺地域は高齢化率が30%を超え、高齢化においては他の地域よりも約20年進んだ地域です。ここで訪問診療などの在宅支援を行いながら日々感じることがあります。たとえば、高齢者を含めた支援が必要な人のサポートには大きく分けて、自助(自立支援、社会活動の参加など)、互助(地域の支えあい、ボランティアなどのインフォーマルサポート)、共助(医療保険、介護保険など)、公助(生活保護など)があります(図参照)。共助と公助については都市部も田舎も、ほぼ同等にうけることが可能ですが、花戸が最も重要と感じているのは「互助」の部分です。幸い永源寺地域には、ご近所さんとのつながりや、ボランティアの方々とのかかわり、地域の自治組織などといった互助の部分が多く存在してます。これは、我々専門職にとってはとても頼りになる存在なのです。つまり、我々医療者を含めた専門職の仕事である「共助」と地域のつながりである「互助」の橋渡しがうまくできていれば、年老いても、認知症になっても、障がいを抱えていても、あるいは一人暮らしであっても、地域の皆さんは安心して生活することができると信じています。実際にここ永源寺地域には「共助」と「互助」をうまくつながりあって、そして支えあっています。これこそが本来我々が目指す地域包括ケア(Care)じゃないかと思うようになりました。

このようなFEC活動により雇用を生むこと、経済的に成立するものを自給できれば、二次的な経済効果を生むことができます。自給にこだわりすぎてもいけませんが、今後、少子高齢化のすすんだ地域で安心して暮らすためにも、地域の自立はますます重要視されるのではないでしょうか。
経済的な成長や物質的な満足も大切ですが、地域における社会活動の持続性も、同様に、あるいはそれ以上に重要だと思ってます。次の世代である子や孫達が大人になる30~60年後、永源寺地域に住む人達がどのような生活をしているのかをイメージすることができるよう、Food・Energy・Careの分野で自立した永源寺地域を目指すことができれば、自分達が年老いても安心して生活できる地域が継続できると思います。





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当院の在宅医療について

   ここ19年間の実績をまとめました。      死亡診断書枚数   在宅患者さん人数   訪問診療・往診のべ回数 2005年    12           66          492 2006年    17           70          553 2007年...