2020年12月31日木曜日

 当院の在宅医療について

 当院では在宅診療を積極的に行っております。

ここ15年間の実績をまとめました。


     死亡診断書枚数   在宅患者さん人数   訪問診療・往診のべ回数
2005年    12           66          492
2006年    17           70          553
2007年    12           69          546
2008年    22           89          736
2009年    22           98           1136
2010年    25            112           1293
2011年    23            121           1320
2012年    29            131           1571
2013年    27            141           1585
2014年              33                                      144                                   1464
2015年      36            151            1359
2016年      36            141          1682
2017年      30                                      133                                    1481
2018年    24                                      114                                    1285
2019年    37          135          1568
2020年    36          284          1522

 今年は新型コロナ騒ぎがありましたが、永源寺地域の在宅医療には大きな変化はありませんでした。
 2020年、訪問診療を卒業された方は、45人おられました。そのうち36人の方を最後まで診させていただきました。それ以外の9人の方は、急変や家族の都合で入院、あるいは転医など理由は様々です。
 永源寺地域全体では病院も含め、年間60人程度の方が息を引き取られています。当院は入院施設はありませんので、私が死亡診断書を書いているのは、主に在宅の方です。つまり、地域の半数以上の方が病院以外で息をひきとられている。永源寺はそんな地域になっています。
 永源寺診療所には、とびぬけて素晴らしい医療機器や、大勢の医療介護スタッフがいるわけではありません。どちらかというと、山間農村地域にありがちな限られた医療機器しかなく、人材も不足しています。しかし、私達が重要視していることは、診療以外のこと、つまり「対話」です。
 外来の時から本人には「ご飯が食べられなくなったら、どうしますか?」と自分の人生の最終章の希望をお伺いしています。また、病院がいいか、在宅にするのかの判断は、私達が在宅医療を勧めることはほとんどなく、本人と家族の対話に参加させていただいている程度です。そして、在宅療養を選択されても、ご家族には「できるだけ仕事を休まないでください」「介護は我々のチームで行います」というようなお話もしています。
 つまり、こちらが「なにがなんでも在宅で」と勧めることはありませんが、本人・家族が「最期まで家で」と選択される方が多くなっているようで、最期まで家にいることが当然のことのように思っておられる人が増えているように思います。
 もちろん、このように充実した在宅医療が提供できるのも、私個人の力というよりも、地域の専門職と、地域の皆さんのおかげだと思っています。

 高齢化のすすむ永源寺地域ですが、地域の皆さんが安心して生活できるよう、そして対話を通じて「看取りの文化」がさらに定着するよう、これからもお手伝いができればと思います。

今年一年ありがとうございました。
皆様、どうぞよいお年をお迎え下さい。

2020年12月26日土曜日

年末のご挨拶


お店で注文しようとしたメニューが「SOLD OUT(売り切れ)です」と言われたら、残念だけどまぁ仕方ないですよね。でも、それが病院だったら・・・・

皆さんは「医療崩壊」と聞いて、どのようなことを想像されるでしょうか?病院の経営破綻、あるいは医師や看護師が過労で倒れている姿でしょうか。そんな医療者が悪戦苦闘する状況とは違うもう一つの姿が目の前に迫りつつあります。

感染症に限らず多くの病気は予告なしに現れます。急に具合が悪くなった時には、救急車を呼べば病院に運ばれ適切な治療をうけられる、健康保険に加入していれば一定の負担で最適な医療サービスをうけられる、それが日本における当たり前の医療の姿でした。医療現場で「SOLD OUT」、「ラストオーダー」なんて言われることは考えられませんでした。

しかし、新型コロナの流行で状況が一変しました。病院のベッドが重症患者で一杯になれば、病院に入院できない、あるいは入院しても最適な治療を受けられないことも考えなくてはならなくなりました。入院できる病院やベッドを増やせばいいと思われるかもしれませんが、いくら建物を大きくしても、医療スタッフをすぐに増やすことはできません。新型コロナに限らず、がん、心筋梗塞、脳卒中、骨折や肺炎など、皆さんが住んでいる地域の病院で治療できる患者さんの数には限りがあり、ある一定数を超えてしまうと最善の医療が提供できなくなる、それが「医療崩壊」なのです。

我々医療者は、必要な人に最善の医療を提供し人々の健康を守りたいのです。地域の限りある医療資源を枯渇させないために、新型コロナの患者さんを急激に増やさない努力を共にしていただきたいのです。新型コロナの流行も大きな波でなければ、日本のどの地域でも乗り越えることができると思っています。

繰り返しますが、医療崩壊とは病院が無くなってしまうのではなく、具合の悪い患者さんが病院にたどり着いても「受け入れられません」「治療できません」と断わらなければならない、今までの日本の医療システムでは考えられなかった悲痛な医療現場の光景なのです。

そのような光景を目にすることがないよう、この冬そしてこれからも皆さんと我々医療者が穏やかな時間を過ごせることを切に願っています。

 

202012

東近江市永源寺診療所   花戸 貴司

2020年10月14日水曜日

幼児園での健診

 今日は、園医をしている幼児園での健診でした。

いつもは春と秋に健診をしていますが、今年はコロナの影響で春は中止でした。

健診は胸の音を聴いたり皮膚の状態や背骨の歪みがないかを診るのですが、それだけではあまりにもつまらないので、いつも絵本を持って読んでいます。

今年も各クラス1冊ずつ持っていき読んできました。
コロナのせいで子ども達が窮屈していないか心配しましたが、大きな声で笑ったり、挨拶してくれました。

やっぱ子どもって楽しいですね。





2020年9月30日水曜日

10月よりインフルエンザワクチン接種を開始します。

 当院では、10月よりインフルエンザワクチン接種を下記のとおり開始します。

例年と同様の数だけ入荷を予定しておりますが、在庫が無くなり次第終了となります。

65歳以上の方

    10月1日より接種開始

65歳未満の方

    10月26日より接種開始(予約受付は10月19日より開始)

※当院にカルテのない方(今まで一度も受診あるいは予防接種をされたことのない方)は、予約をお取りすることができませんので、事前に保険証など本人確認のできるものを持参して受付にお越しください。

※東近江市在住の方は、下記の補助が適用になりますので保険証や運転免許証など、本人確認ができるものを持参してください。




2020年7月24日金曜日

生きるということ

昨日、医師による嘱託殺人事件のニュースがはいってきました。
ALS患者さんの死にたいという思い
SNSでつながった医師による行為
患者さんを支えてきたケアチームの葛藤と怒り
この事件に対する社会の反応

いろいろ思いを巡らせます。
今回の事件とは関係なく、普段私が思うことを書きます。

医療者として患者さんから「死んでしまいたい」と吐露された経験は少なからずあります。
それは疾患に対する拒絶、未来を見通せない不安、孤独と絶望、、、などかと想像しますが、患者さんの苦しさを考えると、やすやすと「わかります」なんて言うことはできません。

しかし対話を重ねることで、孤独が解消されないまでも不安は軽減し、絶望の中にもわずかに光が見え、生きる意味を一緒に考える機会を与えてもらうことがあります。

そのような経験から言えることは
同じ病気をもつ人であっても、考えは多種多様であり
同じ患者さんでも、感情は常に一定ではなく揺れ動く
ということです。

また、世の中には難病だけではなく、がん、障がい、引きこもり、貧困、子育て、高齢など、孤独を感じる人たちが数多くおられます。
そんな我々の目の届かないところで孤独を感じる人達も、SNSによって「同じ悩みを抱える人と出会い孤独を解消できる」といった光の部分がある一方で、SNSの世界は多様性に不寛容であり、異なった意見に対し批判されやすい、そんな影の側面もあります。

どのような病気や障がい、状態であっても、私は目の前の患者さんと様々な対話を繰り返すことで、生きる力になる可能性があると信じています。
支える・支えられる
障がいのある・なし
明と暗

今のあなたがどちらに分類されるかではなく、どのような人であっても様々に変化する可能性があることを信じたい。

「病気になって辛いことも多かったですが、不幸なことばかりじゃない」と前向きに話してくれた難病を抱えた10代の女の子の言葉を今も忘れることができません。

常に死と隣り合わせでありつつも、生きる希望を失わないこと。
それを支えるのが我々医療者の役割だと思います。

雑誌に寄稿しました。

とある医学系雑誌に寄稿しました。








2020年6月16日火曜日

患者さんから時計をいただきました

 今日、診察に来られた患者さん(90歳)から手作りの掛時計をいただきました。



待合室の壁に掛けさせていただきました。
ありがとうございます。

 当院の在宅医療について

  当院では在宅診療を積極的に行っております。 ここ15年間の実績をまとめました。      死亡診断書枚数   在宅患者さん人数   訪問診療・往診のべ回数 2005年    12           66          492 2006年    17           ...