2013年12月31日火曜日

当院の在宅診療について

当院では在宅診療を積極的に行っております。
ここ9年間の実績をまとめました。


     死亡診断書枚数   在宅患者さん人数  訪問診療および往診のべ回数
2005年    12           66          492
2006年    17           70          553
2007年    12           69          546
2008年    22           89          736
2009年    22           98           1136
2010年    25            112           1293
2011年    23            121           1320
2012年    29            131           1571
2013年    27            141           1585


往診を行った患者さんは、2005年の倍以上に増えており、訪問回数も3倍以上に増えています。また、最期まで家に居たいと希望されている方も増えているのも事実です。
往診をしながら、ご家族にも関わらせていただいておりますが、介護をされている家族に対して「なにがなんでも家で」と強制的に勧めているわけではありません。家族の負担や本人の希望など総合的に判断しながら、無理のない範囲で多職種の皆さんとチームとして関わらせていただいております。
その結果、「家では無理やと思ったけど、最期まで家にいることができた」「家で最期を迎えることができ、家族も満足しています」とご意見をいただくことが多いように思います。
高齢化のすすむ永源寺地域ですが、地域の皆さんが安心して生活できるよう、今後も支援させていただきたいと思います。

皆様、佳いお年をお迎え下さい。

2013年12月26日木曜日

大津市医師会雑誌に寄稿しました。

大津市医師会雑誌11月号に「看取りの文化」という文章を寄稿させていただきました。


内容については、こちらで見ることができます。
(pdfファイルが開きます)

2013年12月18日水曜日

市内のインフルエンザ発生状況について

寒さが厳しくなってきました。

永源寺地域の幼稚園、小学校でもインフルエンザに罹患する子ども達を診察する機会が増えてきました。
東近江市では、東近江医師会などの依頼により市内の幼稚園、小中学校のインフルエンザ様疾患で欠席した生徒(児童)数を報告してもらっています。

http://www.city.higashiomi.shiga.jp/0000004639.html


これは、ただ単に自分の周りでインフルエンザがどれくらい流行しているか?という興味の対象だけではなく、じつは地域の第一線で診察を行っている医師にとっては非常に有用な情報なのです。
たとえば、インフルエンザ感染症を疑った場合、インフルエンザ迅速検査を行ってウイルスの存在を判定するのですが、じつはこの検査も万能ではありません。迅速検査は発熱などの症状出現後、ある程度(およそ12時間以上)時間が経過しないと陽性とならない場合があります(これを偽陰性と言います)。ですから、迅速検査が陰性であったとしても「インフルエンザではない」とは言い切れないジレンマが生じます。

しかし、クラスでの流行やきょうだいの罹患など周囲の流行状況から、迅速検査を行わなかったとしても、通常の診察だけで医師がインフルエンザと診断することもあります。
つまり、我々地域で診療を行う医師にとって、迅速検査の結果以外にも周囲の流行状況を知るということは、非常に大切なのです。

その人が住んでいる地域、あるいは属するコミュニティにおける有病率を知っておくこと、それは地域の方々への正確な診断というフィードバックに繋がっているのです。

行政の方々のこのような表に出ない取り組みに感謝申し上げます。


在宅医療における摂食・嚥下研修会






12月15日 滋賀県歯科医師会湖東支部にて開催されました標記研修会でお話をさせていただきました。

私からは「地域の在宅医療の現状」をお話させていただきました。

歯科医師の小金澤先生からは「食べるメカニズムと嚥下訓練の実際」というお話を伺いました。
摂食・嚥下というのは口から食べるということですが、ただ単に栄養をとるということだけではなく、「口から安全に、そして、おいしく食べること」の大切さを学びました。
高齢になっても、障がいを抱えておられても、健康に過ごすために歯科の先生との連携は不可欠とあらためて教えていただいた研修会でした。




2013年12月11日水曜日

現代農業 1月号

一年間の契約で書かせていただいた連載も、延長して書かせていただくことになりました。

1月号からは、地域の多職種の方に登場していただこうと思います。

よろしければ、お手に取ってご覧ください。




2013年12月5日木曜日

今朝の産経新聞

今朝の産経新聞さんに、永源寺地域の取り組みを紹介していただきました。
丁寧に取材していただき、わかりやすい記事にしていただきありがとうございます。



2013年11月29日金曜日

東北地方に新設される医学部について(私の意見)

医師の偏在を解消するための医学部新設について



私は、滋賀県の山間農村地域の診療所で働く医師です。私は中学を卒業する頃に医師を志しましたが、当時、理想の医師像というものは漠然としたイメージしか持っていませんでした。高校へ進学し、将来、医師として働くのであれば都市部よりも地元の滋賀で、大病院よりも診療所で活躍する医師を目指したいという気持ちが強くなり、自治医科大学に進学しました。自治医科大学では医療に恵まれない全国のへき地で働く医師を養成するという目的をもって教育され、仲間とともにそれに必要な知識や技術を学びました。私が医師になって20年弱しか経っていませんが、そこでうけた教育は、診療所で働く今でも大きな糧となっています。
先日、東日本大震災からの復興を目的に、東北地方に医学部を新設するというニュースを目にしました。しかし、東北地方に医学部を新しく作るだけで医師の偏在をなくすことができるかどうか甚だ疑問です。医師の偏在をなくすにはそのような目的をもった医師養成学校を作るべきだと考えます。現在の日本には目的をもった医師養成学校は、防衛医科大学、産業医科大学、そして自治医科大学のみです。いま議論されているように新しく医学部の定員を増やすだけでは、ただ単に医師になるハードルを下げるだけで、「東北地方で働く医師を増やす」という目的と結果の乖離がみられることは明らかです。
私は自治医科大学を卒業し、いくつかの「へき地」といわれる地域で勤務をしましたが、田舎に住むことを嫌ったり、地方の病院では働きたくない、と思ったことは一度もありません。むしろ、今まで勤務したそれぞれの地域には、愛情と多くの思い出が残っており、働いていた職場でも医療スタッフのみならず、介護スタッフや行政、あるは地域住民の皆さんなど、医療に携わる以外の人達とのつながりや支援に支えられてきたように思います。自治医科大学を卒業した私の同級生や先輩そして後輩達も、私と同じ気持ちで働いている人が多いと思います。つまり、我々は「へき地」で勤務する医師になるように教育され、卒業した後もそのような地域で働く医師として地域の人達に育てられてきたのです。人(医師)は、政策やお金だけで育つはずがありません、理念をもって教育され、そして責任を伴う役割を与えられて成長するものです。

被災地の物的・人的支援が必要なことは明らかであり、東北地方に医学部を新設することには賛成です。しかし、それは明らかな目的をもった医師養成機関となるべきなのです。繰り返しますが、震災復興の夢を託されている新設医学部が東北地方の方々の期待を裏切ることにならないよう、慎重に議論されることを希望します。



2013年11月25日月曜日

臨床雑誌「内科」に寄稿しました

南江堂から発行されている月刊雑誌「内科」に國森さんの口絵とともに寄稿させていただきました。


最後までよい人生を支えるには(vol.112 No.6)
多死時代の終末期医療2013年12月特大号

よろしければご覧ください。

2013年11月24日日曜日

2013年11月17日日曜日

日本プライマリ・ケア連合学会に参加しました。

昨日より大阪で開催されております第7回秋季生涯教育セミナーに参加しております。

今回、「いのち」をつなぐ看取りの現場 という教育講演も行わせていただきました。
私と國森さんとのコラボでの講演です。

二人で医療関係者向けに行う講演というのは初めてかもしれませんが、会場の皆さん熱心に聴いて(見て)いただきました。

あと一日ありますが、頑張って勉強してきます。



2013年11月14日木曜日

認知症の方の日記

月に一度、往診に伺っている86歳の認知症を抱えるおじいちゃん。
諸々の理由で、今まで一緒に暮らしてきた認知症のおばあちゃんは、先月施設入所となった。
デイサービスに行かない日は、いつも日中は家で一人でいるおじいちゃん。
朝、起きてカレンダーを見ると大きく「往診」と書いてある、これを見てから朝から落ち着かなかったようだ。日記には書かれていないが、往診に来る医者のために座布団を10枚以上ちゃぶ台の周りに敷き詰めたり、紅茶を水が蒸発するほど湧かして待っておられたようだ。
しかし、自分自身の気持ちや行動を論理的に説明することはできないおじいちゃん。
その気持ちはいくばくか・・・・



(当日の日記のみ書き起こします。)
******************************
11日(月曜日)くもりがち 無風       涼し
6:00起床(省略)朝から色々考えるとなんとなく気が落ち着かない
じたばたしてもしかたがないのに気があせってどうしようもないノイローゼじゃ
ないかと心配になるがなんとか気が落ち着かないものだろうか?もう夕方
に近くなったと思って●往診のしたくをしていたらまだ午前11:00??全く
ボケもひどくなって来たものだ。しかし天気はよくないし外のしごとは雨が降
っているので出来ないし、むりにでもねているのは●●●たいくつなこと
この上なしだ。13:07頃ものすごい大雨が降ってそこらあたり大みづが
流れていた。そのあとも空の雲行きがすっきりしない。夕方からは空が
晴れて来た。あしたは多分よい天気だろうと思う。
******************************


認知症の方の記憶というものは、ある日突然なくなってしまうわけではない。
傍でみていると、少しずつ、そして止まることなく記憶が抜け落ちていくようだ。
それを自分自身で自覚しながら、だんだんと日常生活に支障がでるようになってくる。

周りの人が怒ったり咎めたりしても、なかなか記憶を呼び戻すことはできない。
本人が努力しても、記憶の引き出しがどこにあるのかも見失っているようだ。
もちろん、周りの人が無視をすれば、寂しいという気持ちは忘れない。

記憶がもとどおりに治らなくても、自分の存在を認めてほしいと願っている方がどれほど多いことか。

そう、我々がやるべきことは認知症という病気を治療することだけでなく、その人の存在を認めること、認めてくれる仲間がたくさん居ること。
認知症になっても安心して生活できるような場(地域)であれば、たとえ認知症が治らなくても幸せに過ごすことができると信じている。

2013年11月11日月曜日

2013年11月10日日曜日

国際医療福祉大学で講義をさせていただきました

昨日、国際医療福祉大学大学院 乃木坂スクールにて講義をさせていただきました。

地域社会が支える在宅みとり〜チーム永源寺の実践〜

永源寺での地域医療のこと、在宅医療のこと、それ以外の地域での活動のことなどいろいろと話をさせていただきました。
都市部の皆さんに山間農村地域での私の活動が参考になるかどうかわかりませんが、熱心に聴いていただきました。

全国の名だたる方々と同じ場でお話をさせていただく機会を与えていただき、ありがとうございました。


2013年11月8日金曜日

山が色づいてきました

11月に入り、鈴鹿の山も色づいてきました。
往診に車を走らせていても気持ちのいい季節です。

今週末から永源寺のもみじがちょうど見頃を迎えそうです。
観光に来られる皆様、よそ見をせずに気をつけてお越し下さい。


2013年10月29日火曜日

番組「大往生を看取る」再放送のお知らせ

9月に放送されましたドキュメンタリー番組「大往生を看取る」が再放送されます。

http://www4.nhk.or.jp/chihouhatsu/x/2013-11-11/21/11769/

http://www4.nhk.or.jp/chihouhatsu/x/2013-11-11/21/11769/

11月12日(火) 0時40分から
(11月11日深夜の放送になります)

2013年10月22日火曜日

今朝の朝日新聞(社説)




医師が少ないなか頑張っておられる病院の先生もおられます。そのように医療資源の少ない現状で頑張っておられる病院勤務医の先生と役割分担するために、診療所医師は外来診療や訪問診療を充実させています。それが総合診療医の役割だと思っています。
けして、手を抜いた医療を行ったり、患者さんの意思に背き何もしないわけではありません。

マスコミなどで紹介されるような有名な医師ばかりが偉いわけではありません。
目立たなくても黙々と地域の人達に向かっている方が、花戸にとって満足感はあります。

というわけで、今日も目の前の患者さんに向かいつつ総合診療を頑張ります。

2013年10月6日日曜日

講演会のお知らせ(五愛塾)

10月17日(木)に愛知川公民館にて講演会を開催します。

今回は、写真家の國森さんと一緒にお話をさせていただきます。
申込先のファイルを添付させていただきますので、ご覧ください。



2013年10月5日土曜日

今朝の朝日新聞「声」欄

少し、思うところがありまして新聞に投稿させていただきました。
よろしければご覧ください。


2013年10月4日金曜日

現代農業 11月号

今月は、日常生活こそがリハビリになりうることを書かせていただきました。

よろしければ、ご覧ください。



2013年9月27日金曜日

霞ヶ関官僚が読む本

霞ヶ関官僚が読む本 という見出しで國森さんの写真絵本が紹介されております。

書評を書いておられるのは8月に永源寺診療所をしさつされた厚生労働省の方です。

わずか数時間の視察でしたが、永源寺のことを全てお見通しということが、最後の一文でよくわかりました。



ひなた秋のコンサート のお知らせ 

東近江市の難病サロン「ひなた」さんが主催されるコンサートが開催されます。

日時:2013年10月27日(日) 13時〜16時30分(12時30分開場)
場所:八日市コミュニティセンター大ホール


「ひなた」では、コンサート当日に協力していただけるボランティアを募集中です。
協力していただける方は、下記のところまで連絡をいただければ幸いです。

東近江市永源寺診療所 : 担当 花戸
hanato-circ☆umin.ac.jp   (☆を@に変えてください)



2013年9月25日水曜日

永源寺地域福祉交流会

本日、地域福祉に関わる永源寺地域の皆さんと多職種交流会があり、私が講演をさせていただきました。
集まっていただいたのは、民生委員、児童委員、福祉推進員、生活支援サポーター「絆」(ボランティアグループさん)、そして医療福祉行政が連携するチーム永源寺、の多職種の皆さん約70人の方々が参加していただきました。

私から話題提供として「地域で安心して生活するために」と題して、医療保険・介護保険の「共助」だけでなく、地域ご近所さんやボランティアの方々との支え合い「互助」とつながっていくことがとても大切であることをお話しました。

今まで、永源寺地区内の講演会といえば「安心して最期まで家にいられるように我々が支えますよ」という医療福祉の充実の話をさせていただくことが多く、永源寺以外の講演会では「地域づくり」と講演の内容を分けておりました。

しかし、今回は地域福祉の鍵となるスタッフの方々ですので、私達の医療福祉の活動と地域の鍵となる皆さんがつながってくださいと、あらためてメッセージを届けてまいりました。

講演のあとは皆さんでグループディスカッションで盛り上がりました
まさに地域の皆さんとチーム永源寺の「顔の見える関係」が始まったように思います。





2013年9月19日木曜日

書籍の紹介

とあるシンポジウムで話をさせていただいたら、こんな立派な本にまとめていただきました。

一般の書店には並ばないそうです。
購入希望の方は、暮らしの保健室(hokenshitu☆kjc.biglobe.ne.jp)で、注文が可能です。
(☆を@に変えて送ってください)



2013年9月14日土曜日

往診依頼

秋らしい天気になってきました。
農家の皆さんは、稲刈りに大忙しの毎日です。

今日は、朝から訪問診療にまわっていました。
すると途中で、おしゃべり中のギャル達と遭遇。

「先生、往診か?」
「ご苦労さんやな。私の家は、そこやからなんかあったら往診頼むわ」
「私は、そっち」
「ワシの家はここや」

いやいや、心配しなくても皆さんの家はちゃんと知ってますよ。

在宅療養、在宅看取りが、当たり前のこととして存在する風景。
それが「文化」に繋がっていくのだと思います。


2013年9月7日土曜日

テレビ放送のお知らせ

先日も紹介しましたが、永源寺地域で取材されたドキュメンタリー番組が放送されます。
番組のHPが新しくなっておりましたので、リンク先を変更しました。


放送日:平成25年9月16日(月)24時40分
    (平成25年9月17日(火)0時40分)
    月曜日の深夜です。

チャンネル:NHK総合

番組名:地方発ドキュメンタリー


2013年9月6日金曜日

秋ですね

9月に入り、涼しい日が多くなってきました。
永源寺地域の皆さんも稲刈りに忙しそうです。

お疲れのでませんように、きばって(頑張って)ください。



2013年9月3日火曜日

現代農業10月号

今月号が届きました。

今回は、少し大きな視点で書かせていただきました。

12か月契約の連載ですので、あと二回で終了の予定です。



2013年9月1日日曜日

9月14日 南砺市で開催されるシンポジウムに参加します

南砺市で開催されるシンポジウムに登壇します。

介護保険推進全国サミット in なんと プレイベント
「地域包括医療・ケア推進シンポジウム 〜誰もが安心して暮らし続けることができる南砺市づくり〜」 

日 時:9月14日(土)13:00〜
場 所:南砺市井波総合文化センター

プログラム
基調講演(13:05~14:05)
   『地域包括ケアの時代における医療・介護のゆくえ』
 (講 師)国際医療福祉大学大学院教授
       一般財団法人高齢者住宅財団理事長    高橋 紘士氏

 南砺市の現状と課題報告(14:15~14:40)
   (発表者)南砺市民病院地域連携科主任       竹内 嘉伸氏
       南砺市社会福祉協議会主任        村澤 寿美氏
       南砺市地域包括支援センター主査     金兵 留美氏

パネルディスカッション(14:50~16:50)
『誰もが安心して暮らし続けることができる地域をつくる』
<コーディネーター>
     富山国際大学 子ども育成学部長・教授    宮田 伸朗氏
<パネリスト>
    ボランティアグループすずの会代表      鈴木 恵子氏
    東近江市永源寺診療所所長          花戸 貴司氏
    厚生労働省老健局総務課長補佐        篠田   浩氏
<オブザーバー>
国際医療福祉大学大学院教授
     一般財団法人高齢者住宅財団理事長      高橋 紘士氏
    南砺市民病院院長              南  眞司氏






今朝の京都新聞

「よし笛」というコーナーに写真家の國森さんがコラムを書かれています。
当院のことも少し紹介していただいています。


2013年8月29日木曜日

蒲生での健康教室

当院で実習中の学生さんは先週、蒲生医療センターで研修を行っておられましたが、そのときに蒲生地区で開催された健康教室の様子が、滋賀報知新聞さんで記事にされています。

学生さん達、これからも地域医療の現場で活躍できるよう頑張ってください。


健康教室を行いました


本日、とある集落のサロンにお邪魔して健康教室を行いました。
普段は花戸だけがしゃべるのですが、今回は実習に来ている自治医大の学生さんと一緒に話を行いました

最初に学生さんが「脳梗塞の予防」についてのお話
そして私が「どこで最期を迎えたいですか?」といったお話をさせていただきました。

会場で皆さんに質問すると、ほとんどの方々が元気に長生きしたい、年老いても自分らしく生活したいと考えられているようです。
そのために大切なことは、一番には病気にならないこと、そして年老いても自立した生活を送れるようにすること、自分自身の終末期の希望について家族の方々とちゃんと話し合っておきましょう・・ということを私から話をさせていただきました。

「歳をとってご飯が食べられなくなっても、永源寺地域の方々は花戸が往診しますよ」と約束すると拍手喝采。健康教室といいながら、「最期を考えましょう」というのはブラックジョークのようですが、皆さん高齢化を迎える自分たちの地域づくりに非常に関心を持って目を輝かせながら聴いていただきました。

数百人を相手にしゃべる大きな講演会もいいですが、このようなこじんまりした地域の講演会も、大切にしていきたいと思っています。


2013年8月26日月曜日

今朝の京都新聞

今朝の京都新聞に、「介護現場の負担軽減」と題した記事で滋賀医大の垰田先生のが登場されています。

垰田先生は、労働衛生(職場の安全や働く人の健康・疾病予防についての学問)が専門です。今回は、腰痛予防として「介護補助シート」を勧められています。

介護現場で働く人達の腰痛予防(軽減)対策として利用されてはいかがでしょうか。


2013年8月25日日曜日

多職種連携の講演会

昨日、とある場所に招待され講演を行いました。
今回の講演の対象者は僧侶の方々です。

私達、医療・介護職種は各々の地域での「地域包括ケア」を目指し多職種連携を心がけています。しかし、在宅療養を支援していると我々専門職だけではカバーできない部分が多く存在するのも事実です。
このため、永源寺診療所ではそのような専門職だけではなく、ご近所さんやボランティア活動などのインフォーマルサービスとの繋がりを重要視しています。

在宅支援では、医療や看護、介護の技術的なことだけではなく、心の拠り所となる「宗教」との繋がりが大切だと感じる今日この頃です。


2013年8月17日土曜日

テレビ放送のお知らせ

今年度、東近江市永源寺地域を中心として取材されたドキュメンタリー番組がNHKで放送されます。
当院の取り組みなども紹介される予定ですので、よろしければご覧ください。


放送日:平成25年9月16日(月)24時40分
    (平成25年9月17日(火)0時40分)
    月曜日の深夜です。

チャンネル:NHK総合

番組名:地方発ドキュメンタリー



2013年8月16日金曜日

テレビ取材

昨日、炎天下でテレビ取材を受ける二人の研修医。

お疲れさまでした。


2013年8月4日日曜日

命のバトン

先日83歳のおじいちゃんが息をひきとられました。大往生でした。
「息が止まりました」と連絡をうけ、急いで往診に伺うと、ひいおじいちゃんの介護ベッドの隣でスヤスヤと寝ているひ孫くんがいました。



ひいおじいちゃんは2月に退院され、ひ孫くんは4月に誕生しました。
「命は、つながっていくんだなぁ」と感じた看取りでした

(写真は一部加工してあります)

2013年8月3日土曜日

現代農業9月号

今月も発刊されました。
よろしければ、お読みください。

今月号は、私の連載以外にも福祉関係の投稿がいくつかあります。

多方面にアンテナをはっておられる、いい雑誌です。


2013年7月30日火曜日

南砺市 地域包括医療・ケア推進シンポジウム

9月14日に富山県南砺市で開催される標記シンポジウムで発表させていただく機会をいただきました。
南砺市では、昨年東近江市で開催されました「介護保険推進全国サミット」が10月に開催されます。南砺市をはじめ、各地域で実践されている地域包括ケアを含めた地域活動を全国の多職種の皆さんで盛り上げていく会合です。

そのプレイベントとして今回のシンポジウムが開催されることになりました。
シンポジウムでは、私の地域活動のこと、診療所のこと、永源寺のことをお話しさせていただく予定です。

お近くの方、よろしければお越し下さい。




2013年7月26日金曜日

日常生活の場がリハビリテーション

日常生活がリハビリテーション」
とあるリハビリの先生から、教えてもらった言葉です。

病院から家に帰ってくると、こちらが予想もしないような出来事に遭遇することがあります。

86歳になるSさんは、認知症と腰の骨がもろくなる骨粗鬆症があります。
外来に通えないので月に一度の訪問診療をしていました。Sさんは「腰が痛くて歩けない」と言いながらも、春になったら杖をついて畑の草むしりに出かけられるような元気なおばあちゃんでした。
そんなSさんが、田植え前の4月下旬に田んぼを見に行こうとして転倒されました。一日様子をみていましたがやっぱり歩けないのでレントゲンで左足の骨折と判明。そのまま、入院となりました。
〇〇病院で手術のあと、2か月ほど熱心にリハビリを行われました。

そのまま在宅に帰られたのが、7月初旬のことでした。

退院前の話し合いでは、「杖をついても歩行はダメ」「移動はベッドサイドのポータブルトイレまで」との病院の先生からの指示でした。退院直後の往診では、ベッドに腰掛けながら「モーモーさんのようにじっとしています」とおっしゃっていました。(実際、50年前にはここの部屋で牛を飼われていたそうです)
そんな本音なのか冗談なのか、わからない話をしながら息子さんと笑っていました。
写真 左

そして、退院2週間ほど経過し、本日訪問しました。
じっとしていられないSさんは、パジャマからもんぺに着替えて玄関に腰掛けておられました。
話を聴くと、「草むしりに行ってきた」「トマトとキュウリがたくさん採れたので、先生もって帰ってくれ」とのこと。
写真 中・右



今まで急性期病院でリハビリを頑張ってこられましたが、まさに日常生活がリハビリテーション」となっているようです。

さきほどもらってきたトマトは、とても甘くて美味しくいただきました。

2013年7月23日火曜日

今日の中日新聞

今日の中日新聞に知り合いの社会福祉士 志摩病院の前田さんが紹介されています。

2013年7月22日月曜日

終末期の意向を尋ねること

高齢者の終末期医療について、いろいろな場面で話題になることがあります。
というのも本人の意思が確認できないことが多いからかと思います。

先週高齢者二人暮らしの方からお手紙をいただきました。
84歳の奥さんは、2年前に大腿骨骨折を受傷し、歩行が困難、デイサービスに通われています。
87歳になる旦那さんは、奥さんが入院してから炊事や掃除、洗濯、奥さんの介護などをされていますが、ご自身も不整脈、糖尿病などで当院の外来に通院されています。

なんとか二人で暮らしておられるという様子ですが、ご近所さんもよく覗きにこられ、落ち着いて生活をされています。
そんな旦那さんからお手紙をいただきました。


以下、お手紙の内容です。

********************************

花戸先生

先日お話しいただいた今後の方針について、まだ
家族の話合いは行っておりませんが、私も誰しも
が願っております自宅での最後を迎えたいと思
っております。
しかしながら家庭の事情からどうしたらよいか迷
っております。
と申しますのは、私には三人の子供(男ばかり)がおり
ますが長男(〇〇市在住)が定年を迎えていて帰って
くれると一番よいのですが事情(離婚、再婚、育児)が
あって帰郷は無理かと思います。次男(△△在住)は近
いのですが養子に出したもので自由になりません。三
男(□□ー現在●●へ単身赴任)は□□で家を建て定年まで
後十五年もある状況で、育て方が悪かったものと後悔
しております。
二人が何とか動ける内は先生に厄介になりながらも
生活できるとしても二人が倒れた時にどうするか、迷い
苦しんでおります。
 日々期をつけていただいている先生に感謝し
ながら私の心情を報告致します。

 平成二十五年七月○日


********************************

お手紙を読みながら、自分達医療・介護スタッフのできること、そして、自分達のやらなければならないことを考えることができます。

高齢者の方に終末期の意向を尋ねるのには、「いいタイミング」というものはなく、普段から話題にしておくことがとても重要です。
死をタブーにしない、老いというものを見て見ぬふりをしない、そのようなことが高齢者が安心して生活できる環境づくりに繋がると思っています。。

よりよい生があった結果、よりよい終末期を迎えられる。
外来や在宅の患者さんとそのようなことを話し合っております。

2013年7月10日水曜日

講演会のお知らせ

地域の医療と福祉を考える会(桝田医員と永源寺診療所が主宰)では、下記のような講演会を企画しました。

地域の皆さんが安心して生活できることを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。




2013年6月27日木曜日

老老介護

高齢化率が10年早く進む永源寺地域では、高齢者一人暮し、老夫婦世帯の方々もたくさんおられます。
そんな老夫婦の一方が先日寝込まれました。

症 例:91歳 女性(Sさん)
疾 患:高血圧、骨粗しょう症
家 族:97歳の旦那さんと二人暮らし
旦那さんと二人、月に一度、外来に通われていました。旦那さんは出兵されていたこともあり、非常に礼儀正しい方です。私が外来で「ご飯が食べられなくなったらどうしますか?」と尋ねたら、「二人とも最期は家で迎えたいと思います。」と言われていました。
毎回、私が尋ねていたもんですから最近では私が尋ねる前に「最期は家で・・・」と言いながら笑っておられました。

一年ほど前から奥さんが徐々に弱ってこられ、なんとか外来に通われている状態となりました。
しかし、遠方の娘さんに連れられて頑張って月に一度通われていました。

そして、2週間前に旦那さんだけが外来に来られました。
「先生、じつは一か月前より家内が寝込みまして、先生にお力をお借りしたいと・・・云々」と語られるではありませんか!
旦那さんの診察もそこそこに「今日、昼から往診に行きますから」と言い、娘さんに介護保険の申請をするように伝え、午後から往診に伺いました。
往診に伺うと、奥さんは布団で寝たきり、仙骨部に褥瘡もできています。骨折や脳梗塞はなさそうですので、「老衰」かと思います。
オムツは97歳の旦那さんが交換し、遠方の娘さん達が交代で帰ってこられているとのことでした。
早速、ケアマネさんに連絡し、ベッド、ヘルパーさんの手配をお願いしました。
そして、一週間後の今日、褥瘡はすっかりよくなり、Sさんもお粥を食べられるほどによくなっていました。

旦那さんからは「先生のおかげです」と頭を深々と下げていただきました。「いやいや、約束ですから」

本日、帰り際に私から旦那さんに「困ったことはありませんか?」と尋ねると
旦那さんが言われました。
「家内は、こんな具合になってしまいましたが、長年連れ添った仲ですから仕方ありません。先生や皆様方にご支援いただきまして、とても助かっております。皆様に助けていただいて、私が家内の世話ができることが私にとって何より嬉しいことと思っております。」

旦那さん、カッコ良すぎます・・・

老老介護といえども、邪魔をしないように支援を考えていきたいと思います。

帰り際には玄関先まで見送っていただきました。


当院の在宅医療について

   ここ19年間の実績をまとめました。      死亡診断書枚数   在宅患者さん人数   訪問診療・往診のべ回数 2005年    12           66          492 2006年    17           70          553 2007年...