2020年3月26日木曜日

國森さんの新刊

新型コロナのニュースが、国内外から毎日流れてきます。
今まで自分も含め、患者さんも「これぐらいまで生きられるのだろうなぁ」と漠然と思っていたことが、新興感染症を目の当たりにして一気に揺らいできた。
そして、感染症をコントロールできるのは「都市封鎖」という製造小売業を中心とした中小企業の経済がストップし、民主主義における自由を奪うような対策が方法になるかもしれないという流れ。
すべてにおいて、先が見えない不安にさいなまれています。

そんな中、一冊の本が届きました。
國森さんの「生老病死 そして生」という本です。



「あたたかい死」を世界中の誰もが迎えられるようにしたい、そんな言葉からはじまる國森さんの写真と文章にページをめくるたびにひきこまれていきました。
死を避けるのではなく、目をそらさずに生きることで、それぞれの命が次の世代に繋がっていく。
老いも若きも、障がい・病気があっても生きる力強さを感じる写真の数々。
その一方で、貧困や社会格差のせいで生き辛さを抱えた人々。

一言では言いあらわせませんが、今、自分たちの生きる意味を考えさせられました。

おすすめの一冊です。

2020年3月22日日曜日

どれぐらい続くの?

毎日、新型コロナの話題がニュースになっていますが、自粛ムードはどれぐらい続くのでしょうか?

本日(3月22日)まで、世界の新型コロナの感染者は30万人、死者も13,000人を超えています。

https://www.worldometers.info/coronavirus/

上記のサイトからの引用ですが、右肩上がりで数が増えているのがわかります。
(まだ頂点に至っていないという点に注目してください)





先日、「今どのあたり?」をというタイトルで記事を書きましたが、日本は流行拡大の手前の段階、今、まさにこのあたりなんだろうと思います。



しかし、現在地点がわかっても、その先が見通せないという不安もあります。
というのもこのグラフに縦軸と横軸の目盛りがないのです。

一つの資料として、3月6日付の厚生労働省の文書があります。
https://www.mhlw.go.jp/content/000605276.pdf




「ピーク時は、各都道府県等において疫学的関連性が把握できない程度に 感染が拡大した時点から概ね3か月後に到来すると推計されている。」と書かれています。


そしてメディアからの引用ですが、3月20日付のNYtimes onlineには、このようなグラフが出ていました。






あくまで予想でしかありませんが、新型コロナによる感染者対策に要する時間は、週単位ではなく、数か月から一年という単位のようです。
そのような長期的な視点の一方で、大型イベントの自粛、濃厚接触者の自宅待機などの「クラスター対策」はまだまだ必要な時期であることを忘れてはなりません。

自粛ムードを弛緩することにより新たなクラスターが発生することも予想されます。

感染拡大によりロックダウン(都市封鎖)という対策をとった国(地域)もあることも忘れないでください。

今、もう一度考えたいと思います。

・一人一人が、手洗いなど感染予防に心がけること
・換気の悪い場所で、多くの人が集まり、近距離で会話するようなイベントを控えること
・体調が悪ければ、無理せずに学校・仕事を休むこと

こんなことを続けながら生活を楽しむこと、学校に通うこと、経済をまわすこと、できるんじゃないでしょうか。

「今、まさにこのあたり」なのです。





2020年3月20日金曜日

今どのあたり?

 昨日(3月19日)、厚生労働省の専門家会議の会見がありました。




資料はこちら
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000610566.pdf

内容を要約すると、「いつか、どこかで爆発的拡大(オーバーシュート)があるかもしれない」ということです。

「オーバーシュート」ってどのようなことを意味するのでしょうか?

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 先日、とある方から「コロナって、あとどれぐらいでおさまるんですか?」という質問を受けました。イベントや、外出をいつまで自粛すればいいのか?という趣旨だと思います。

このグラフを見てください。


新型コロナの感染を示す図です。
以前から「流行のピークを下げる対策が必要」という説明をするために使われていました。
オーバーシュートというのは患者数が急激に上昇するということです。ここに至るかどうかの分かれ目という時期なので、下に書いたように「今、まさにこのあたり」なんです。


今、保健所をはじめ行政の皆さんが、感染者と濃厚接触者を追いかけています。しかし、この追跡が間に合わない(追いかけられない)時期がきますが、それは突然に訪れ、感染者は爆発的に増えます。そして流行がどれぐらい続くかも予想がつきません。

それがこれから始まるのです。

イベントを自粛しているのは感染を急激に広げ(オーバーシュート)ないようにしているためで、水も漏らさないような完全防御ではないのです。
日本だけ、あるいは滋賀、東近江だけ感染が広がらないといった希望は捨てた方がいいと思います。

これから教育、経済、医療、介護、今までどおりに進まないことが予想されます。
それに備えて、個人・家族・会社・行政が考えておかないことがあります。

そう思いながら、専門家会議の資料も読めば自分ごととして考えられるのではないでしょうか。


厳しいことを書きましたが、今回の新型コロナは誰もが感染するウイルスです。しかし、誰もが重症になるわけではありません。

新型コロナに注意しながらも安心して社会生活が送れるよう、それぞれの立場でできること、考えていただければと思います。


2020年3月17日火曜日

こんな時期だからこそ、ひとりひとりができること

 世の中の人が外出を控えておられるせいか、今年はインフルエンザの流行もなく、外来・在宅の患者さんも落ち着いています。
 患者さんから「新型コロナってどうなんですかね?」という質問をいただきますが、「皆さん罹りますよ、誰も触れたことのないウイルスですから」と説明しています。
 半分冗談のような話ですが、誰もが感染する可能性のあるウイルスであることは間違いありません。しかし、新型コロナに感染したからといって誰もが重症化するわけではなく、感染しても8割の人が入院せずに済む軽症であることがわかっています。ですのでひどく心配する必要はありません。
 そして、新型コロナの感染パターンもだんだんとわかってきました。新型コロナに感染しても8割の人は誰にも感染させずに個人の中で収束しています。しかし、残り2割が「クラスター」と呼ばれる次々に人に感染が連鎖していくパターンを呈しています。

クラスターが起こりやすい環境も指摘されています。
・換気のない密閉空間
・多くの人が密集する場所
・近距離で会話、発声などがある


3月15日、厚生労働省で発表されたクラスターマップを見ると、まさに上記の3条件が当てはまっているようです。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000608641.pdf


そして、環境要因以外にも、個人で気をつけていただきたいことがあります。

日頃からの「手洗い」はぜひ続けてください。
帰宅後、マスクを外した後、食事の前などは忘れずに行なってください。
高血圧や糖尿病、肺疾患など、日頃から通院が必要な病気(基礎疾患と言います)がある人は、しっかりと管理してもらってください。決して、通院を疎かにして薬がきれたなんてことがないようにしてください。

今までの調査でも、高齢者や基礎疾患がある人は全員ではありませんが重症化しやすいことがわかっています。

自分自身はもちろん、そのような人達が罹患しないよう、そして地域でクラスターが発生しないよう一人一人ができることを心がけましょう。

最後にもう一度書きます
「コロナは誰もが罹るウイルスです」







2020年3月2日月曜日

明日から臨時休校

明日から東近江市内の学校が臨時休校になります。
山上小学校の校医として、児童の皆さんと保護者の皆さんにメッセージを書きました。

休みの間、大人から「勉強しなさいっ」って言うばかりではなく、子どもらしく過ごすことができるよう我々も応援しております。




当院の在宅医療について

   ここ19年間の実績をまとめました。      死亡診断書枚数   在宅患者さん人数   訪問診療・往診のべ回数 2005年    12           66          492 2006年    17           70          553 2007年...