2020年7月24日金曜日

生きるということ

昨日、医師による嘱託殺人事件のニュースがはいってきました。
ALS患者さんの死にたいという思い
SNSでつながった医師による行為
患者さんを支えてきたケアチームの葛藤と怒り
この事件に対する社会の反応

いろいろ思いを巡らせます。
今回の事件とは関係なく、普段私が思うことを書きます。

医療者として患者さんから「死んでしまいたい」と吐露された経験は少なからずあります。
それは疾患に対する拒絶、未来を見通せない不安、孤独と絶望、、、などかと想像しますが、患者さんの苦しさを考えると、やすやすと「わかります」なんて言うことはできません。

しかし対話を重ねることで、孤独が解消されないまでも不安は軽減し、絶望の中にもわずかに光が見え、生きる意味を一緒に考える機会を与えてもらうことがあります。

そのような経験から言えることは
同じ病気をもつ人であっても、考えは多種多様であり
同じ患者さんでも、感情は常に一定ではなく揺れ動く
ということです。

また、世の中には難病だけではなく、がん、障がい、引きこもり、貧困、子育て、高齢など、孤独を感じる人たちが数多くおられます。
そんな我々の目の届かないところで孤独を感じる人達も、SNSによって「同じ悩みを抱える人と出会い孤独を解消できる」といった光の部分がある一方で、SNSの世界は多様性に不寛容であり、異なった意見に対し批判されやすい、そんな影の側面もあります。

どのような病気や障がい、状態であっても、私は目の前の患者さんと様々な対話を繰り返すことで、生きる力になる可能性があると信じています。
支える・支えられる
障がいのある・なし
明と暗

今のあなたがどちらに分類されるかではなく、どのような人であっても様々に変化する可能性があることを信じたい。

「病気になって辛いことも多かったですが、不幸なことばかりじゃない」と前向きに話してくれた難病を抱えた10代の女の子の言葉を今も忘れることができません。

常に死と隣り合わせでありつつも、生きる希望を失わないこと。
それを支えるのが我々医療者の役割だと思います。

雑誌に寄稿しました。

とある医学系雑誌に寄稿しました。








当院の在宅医療について

   ここ19年間の実績をまとめました。      死亡診断書枚数   在宅患者さん人数   訪問診療・往診のべ回数 2005年    12           66          492 2006年    17           70          553 2007年...