2020年4月14日火曜日

人生の希望を語り合うこと

当院では、在宅患者さんだけではなく外来にこられている患者さんにも、人生の最終章をどのように過ごしたいかご本人とお話をしています。

具体的な場面を尋ねたり、定型的な書面を用意しているわけではありませんが、診察の時に医師からご本人に直接「ご飯が食べられなくなったらどうしますか?」と尋ねています。病気の種類、介護の必要度、年齢、患者さんによって抱える健康上の問題点あるいは生活上の課題は様々ですが、状況が変化したときやご家族が付き添ってこられた時など、一人一人丁寧に話し合いお話しされたことをその都度カルテに書き込んでいます。

下の図は、3月21日から先週末まで外来に来られた50歳以上の患者さんが今まで私達とどのような話し合いをしたのかの内訳です。

治療・・病気に対して入院してできるだけ治療を優先することを希望する。
不要・・入院治療よりも、在宅での生活優先することを希望する。
未定・・まだ、人生の最終章のことまでは考えていない。
未確認・・その話題について医師と話し合っていない。




今、新型コロナウイルス感染症が都市部を中心に流行し始めています。今後、大都市だけではなく滋賀県内の地方都市、あるいは永源寺地域のような農村地域にも流行の波が訪れると思います。その時に感染しないように予防することも大切ですが、ウイルスに感染し肺炎になった時にどのような治療を選択するのか、本人とあらかじめ話し合っておくことはとても大切なことだと思っています。
今回の新型コロナウイルスによる肺炎が重症化した時、残念ながら人工呼吸器をつけた人が全て助かるわけではありません。ECMO(体外式膜型人工肺)も同じです。高齢になればなるほど治療成績は悪くなり合併症などのリスクも高くなります。
今回の肺炎に限らず、身近に死を意識することがいつ起こるかわかりません。ですので、自分自身はどのような治療方法を希望するのか、元気なうちから話し合っておくことがとても大切なのです。

当院の外来に来られる多くの患者さんは高齢の患者さんです。患者さんと話していると「肺炎になっても、苦しみがないようにしてもらえるのなら、人工呼吸器をつけないで最期まで家ですごしたい」という希望は多くあります。
指定感染症になっている新型コロナウイルスの場合、それがどこまで叶えられるのか、現時点では充分にわからないのも事実です。しかし、できないと諦めるのではなく、どのようにすれば本人の思いを叶えられるのかを考えるのも我々の仕事だと思っています。

これからも対話を続けていきたいと思います。
皆さんは「ご飯が食べられなくなったら、どうしますか?」

訂正)改めて確認しましたところ、データに訂正がありましたので図を修正しました。(2020.04.19)

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当院の在宅医療について

   ここ19年間の実績をまとめました。      死亡診断書枚数   在宅患者さん人数   訪問診療・往診のべ回数 2005年    12           66          492 2006年    17           70          553 2007年...